入院まで

診察室を出て会計を待っている間に夫にメールで状況を報告。

先生や看護師さんは紹介状を持って行ってもすぐに産院が受け入れてくれるかどうかものすごく心配してくれて、ダメだった時はどうしたらよいか何度も説明してくれる。

大丈夫だよ。だって母が助産師として働いている産院に行くのだから。でももう言うのも面倒になってそれを伝えずにただ話を聞いていた。

会計を終え外に出ると近くの路地に行き、仕事中の母に電話して今後の相談をした。

母は「え~なんで~?!」と言いながらも、自分の勤務予定と合わせて1/26金曜日に入院しらた良いこと、月曜日からは仕事もできること、など知らせてくれる。

こんな時悲しんで大騒ぎされるとこちらまで動揺しそうなので、事務的に現実的な話を進めてくれるのはありがたかった。

明後日入院となると、明日の仕事はどうしよう…、と考えながら都心で氷点下を記録した大寒波襲来中の寒空の中自転車で帰り、保育園にあきを迎えに行った。

帰宅後、大学のバレー友達にLINEで伝えた。これからどういう心境になるか想像もつかず、ココロが乱れないうちに伝えてしまいたかった。

Mがすぐに電話をくれる。「そんなことってあるんだね…」と泣いてくれて、こちらもこらえきれず声が震える。Mはあきが生まれた直後にも電話くれたことを思い出す。本当にありがたい存在だと改めて思う。

そして電話を切ってから少しの間涙を流して泣く。

でも泣いている姿をあまり子どもに見せたくないし、ずっと泣いている暇なんてない。

その日の夕飯はどうしたか覚えていないけれど、布団に入ってあきを寝かせてからはスマホで検索魔になっていた。これから何をしてどうなるのか。。。

クリニックに行った直後は、翌日の仕事が外出予定だったこともあり出勤しようと思っていたけれど、口頭で上司に伝えるのも抵抗があった。いろいろ考えた末、眠る頃には、「メールで事情を伝えて明日から仕事を休ませてもらおう」という気持ちになっていた。

そして、検索しているうちに、死亡届や火葬が必要なこと、仕事は6週間の産後休暇を取らなければならないことを知り、赤ちゃんが死んでしまったことと同じくらいの衝撃を受ける。でも、こういった諸手続きのことも考えなければならず、ある意味では気を紛らわせることができた。

 

翌日はさも出勤するかのようにあきを保育園に預け、帰宅後は職場にメールしたり、時々泣いたり、ぐちゃぐちゃの家の掃除をしたり、検索魔になったりして過ごす。詳細はもうよく覚えていないけれど、泣き暮らすということはなかった。

 

金曜日昼頃、あきと電車で実家に帰る。

その日は入院にならないと聞いていたけれど、電車に乗ってから「そのまま入院だから」と母から電話がくる。おい。荷物まとまってないよ。

駅にはパパが迎えに来てくれて、BookOffに寄って本を買って病院へ行く。 

病院受付では見知った顔の方が対応してくれる。

6週間の産後休暇を会社に隠して出勤できないものかと画策していた私は、受付で出産一時金の書類にサインする時に「出産一時金の申請をすると会社にバレるかも」と少しゴネる。事務の方が「この書類は会社を通さないから大丈夫じゃないか?」と言うので、半ば諦めモードでサインする。

「死産したら産後休暇で6週間休まないといけない」ということについては、病院受付も母も看護師さんたちも皆よく知らない模様。死産なんてなかなかないことで、人事担当者でも産休発生に気づかないことがあるようだし、医療従事者が知らなくても仕方がないのかもしれない。

診察は若先生。エコーで見る限り14週くらいの大きさで止まっているとのこと。クリニックで言われたのと同じ。やっぱり胎児ドックの時まで頑張って成長してくれて、最初で最後の元気な姿を見せてくれたのかなと思う。 

あきはパパに連れて帰ってもらった。町長選挙運動中で忙しくしているパパに連れられ選挙事務所に行き、おばちゃんたちに遊んでもらっていたようだ。夜もパパと一緒に眠れたみたいで安心した。

2Fに上がると病室は奥に入った和室。新生児の声が届きづらい場所みだいだ。民宿みたい。この日も寒くてからっ風がすごかったし、角部屋で窓が多くて寒かった。

出産に向けての処置は、診察室ではなく2Fの分娩室で処置をした気がする。

まずはラミナリアで子宮口を広げる。 

それとクラミジア検査の陽性が出るというハプニング発生で薬が処方される。。。

処置後、部屋に戻ってテレビを付け、エアコンをMAXにして布団に入る。あとは翌朝までのんびり。

しばらくすると顔なじみの調理師さんが自ら夕食を届けてくれる。「残念だったねぇ…少し早いけど食べて」などと言っていただいて、入院しても一人でさみしい思いをしなくて良い私の環境は恵まれていると思う。

お魚のホイル焼きなど盛りだくさんで美味しかったけれど、電車であきとおにぎりを食べてしまったのでお腹がすいてないし、ラミナリアでお腹が少し張っていたのであまり食べられずに結構残してしまった。

そして「前回はあきを産んだ後ヨレヨレになりながら入ったのにな…」と思いながらシャワーも済ます。

この夜はテレビをつけつつ、ひたすら検索魔、そして時々泣く。

夫には、翌日の昼までに来るように、できれば菓子折りでも買ってきてね、とメールする。

夜9時頃に人生初となる睡眠導入剤を飲み1時間後くらい?に寝る。